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「会計士の転職」「税理士の転職」を
考えるコラム
仕事の探し方と働き方

会計士の転職先・転職市場動向

日本の公認会計士は試験合格者を含めて約4万人です。その約40%がBIG4、約5%が中小監査法人で働いています。また、2018年12月時点の組織内会計士は1,745名と約5%です。半数の会計士は、それ以外の働き方をしているということです。会計士のキャリアは十人十色。本コラムでは、個性的な会計士の「生き方」に触れていきます。

公認会計⼠の求められる業界とは?2024年版

公認会計⼠の求められる業界とは?2024年版
公認会計士の活躍の場は「監査法人」「上場企業」「上場準備会社・スタートアップ(CFO)」「コンサルティングファーム」「税理士法人」「金融機関」と幅広く存在します。会計士としてどう働いていきたいか、どう生きていきたいかによって就職先の選択肢は大きく変わっていきます。会計士受験生(合格者含む)のほとんどは、会計事務所や監査法人に就職してキャリアをスタートしますが、キャリア選択の一環として「会計士が求められる業界」についてまとめてみます。

(1)監査法人


監査法人は会計監査やアドバイザリー業務など、会計分野における高度なサポートを中心に実施する法人です。令和5年9月末日時点、国内の監査法人は288社存在します。
監査法人の人数規模についてはBIG4と呼ばれる監査法人が上位を占めています。
有限責任監査法人トーマツ(7000名)、有限責任あずさ監査法人(約6000名)、EY新日本有限責任監査法人(約6000名)、PwCあらた有限責任監査法人(約3000名)です。
ここでは、代表的な監査法人について紹介していきたいと思います。

【BIG4監査法人】
監査法人に就職もしくは転職する際、最初のキャリアを4大監査法人(BIG4)と呼ばれる大手監査法人から始めたいと考える方も多いと思います。
BIG4監査法人とは、あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツの4つの監査法人を指します。
世界各地にファームがあり、クライアント層は有名な上場会社、上場関連会社、外資系企業が中心です。4法人で日本の上場企業の6割以上を監査先として分け合っているほどの規模感があります。
BIG4監査法人には「監査部門」と「アドバイザリー部門」があり、さらに各クライアントの業種によって細かく部門があります。中途採用の場合は、それぞれの部門で募集を行っている傾向にあります。
税理士法人、コンサルティングファームやアドバイザリー会社など複数の関連会社を保有していることも特徴で、関連会社と連携しつつ、お客様のニーズに合わせた幅広いサービスを展開しています。
クライアントの規模は大きく、誰もが知っている上場企業の監査やアドバイザリー業務を行っているのが特徴です。

【国内準大手監査法人】
準大手監査法人に該当するのは、仰星監査法人(約400名)、太陽有限責任監査法人(約1190名)、三優監査法人(約300名)、東陽監査法人(約400名)などです。
クライアント規模はBIG4に比べるとやや小さくなりますが、早期に全体を把握できるクライアントが多く、また、様々な業種に関わることができます。クライアントの状況に見合ったクオリティの高い監査を提供しています。
監査チームは3~5人位の少人数の場合もあることから、経験豊かなパートナーとの距離が近く、相談しやすいため成長できる環境があります。

【キャリア形成について】
BIG4監査法人で監査業務からキャリアをスタートする場合、サービス提供先にて、法定監査業務や財務諸表監査、内部統制監査などを行います。上場会社、上場関連会社、外資系企業など規模の大きいクライアントが多いので専門性の高い監査業務経験を積むことができます。またBIG4監査法人では、コンサルティングやアドバイザリーなど監査以外のサービスを拡大する傾向にあります。M&Aや企業再生、IPO支援、国際会計基準への変更支援など、多岐にわたる分野に対応しており、特定の分野や業務内容を深く理解して専門性を高めていくことができます。海外出向の制度もあり、海外で将来働くことを考えている人にはマッチする環境もあります。

国内準大手監査法人では、BIG4監査法人に比べ社員数が少なく、中小企業のクライアントも多いため、早期に監査の主査(インチャージ)を経験できるチャンスがあると言えます。
また、中堅監査法人は、監査だけではなく、IPOやアドバイザリーのクライアントを並行することが多い為、監査以外の様々な業務を経験することができます。ご自身が将来どういう会計士としてキャリアを積んでいきたいかを考え、就職先を決めることが大切です。


(2)上場企業


上場企業において、専門性が高い人材の採用は積極的に行われており、経理や経営企画などのポジションはその代表的な1つです。またガバナンス・コンプライアンスが重要視されるに伴って、内部統制に対応する人材のニーズも高まっています。
事業会社の組織内会計士として、仕事内容は以下の通りです。

組織内会計士の業務内容
・経理業務
・管理会計(ファイナンシャルプランニング&アナリシス)を含む経営企画
・内部監査
【経理】
(1)単体・連結決算業務
(2)開示業務
(3)予算管理業務
(4)経営者への月次報告

子会社や関連会社を有する企業では連結決算や連結財務諸表の作成、上場会社では有価証券報告書の作成や四半期決算報告書などの作成も行い、会計基準に則って様々な会計処理を行います。経理の業務の特徴としては、営業活動によって生じた会社のお金の流れを管理する業務を行うことが特徴です。

【経営企画】
経営企画の主な仕事は、企業の経営管理です。経営管理の業務とは、企業全体の事業をどのように進めていくかという戦略を立て、それを実行していくことです。
財務分析・業務管理の専門家として、CEOの目指す経営方針を踏まえた適切なアドバイスが求められます。
また、業務提携やM&Aの際は、他社との提携やM&A等、機密性が高い事項をリードする必要があり、会計士としての能力が期待されます。
また、新規事業への対応もします。新規事業が「ビジネスでどのように活用できるか」という観点が最優先されるため、明確な部署が存在しないような業務も受けることになるのです。そのほか、社内のコンプライアンス関連業務や株主への対応なども、経営企画の仕事です。

【内部監査】
内部監査は、経営目標の達成に向けて適切な業務がなされているかを確認することが主な目的です。このポジションにおいては、会社の各種事業活動が法律・会社の規程やルール等に則って運営されており、リスクマネジメント・プロセスや内部統制プロセスが機能しているか等をチェックします。監査計画の立案や、監査手続書に基づく監査の実施、監査調書の作成などの業務があります。また企業の買収等があった際は、買収後のPMI(Post Merger Integration:買収後の統合プロセス)業務として、内部監査部門の評価やモニタリングを行う手法を企画・開発するのも内部監査の仕事です。

【キャリア形成について】
国際会計基準(IFRS)を適用する会社は増加傾向にあり、会計士の需要は高まっております。監査法人への就職や、自分で開業して会計士として働いていくのではなく、企業内会計士としてキャリアをつんでいくことも可能です。経理や財務といった管理部門で就業するケースが多くあり、若い人材ではスタートアップのCEO(最高経営責任者)といったポジションを担うというパターンもあります。


(3)上場準備会社・スタートアップ


スタートアップとは、アメリカで使われ始めた言葉で、一般的には起業や新規事業の立ち上げを意味する言葉です。現在もスタートアップ企業に明確な定義はありませんが、一般的に革新的なアイデアで短期的に成長する創業2〜3年の企業をスタートアップと指します。
起業し事業を軌道に乗せ、上場準備のスタート地点に立つとき、「上場準備会社」と呼ばれるフェーズに入ります。
上場準備会社とは、株式を新規に証券取引所に上場させ、資金調達や市場からの信頼獲得などを目指している企業のことを指します。

IPO(上場)は、準備から上場までに2~3年以上の時間がかかる長期プロジェクトとなります。N-3期(会計監査の準備)、N-2期(問題点の抽出・準備)、N-1期(運用期間)を経て、
申請期(完全運用期間)に入ります。証券取引所の審査を経て上場承認がおりると、晴れて株式上場(IPO)を達成することとなります。

また、上場企業は投資家や証券取引所といった関係者に対して、正確で信頼性の高い財務情報を提供する必要があるため、組織的な企業運営の構築を行い、会社の内部管理体制を充実させることが求められます。上場準備のフェーズによってはCFO(最高財務責任者)の立場としてこれらの業務に携わることもあります。

上場準備会社の業務内容
・IPO準備
・資金調達
・財務戦略の立案と実行
・上場に必要な内部統制
・証券会社や監査法人との渉外
・四半期ごとの決算・監査

上場準備段階におけるCFOの役割として、IPOに向けた計画立案や計画の実行、チーム編成と取りまとめ、証券会社や監査法人との関係性構築、審査対応など多くの役割を担います。 また、CFOの仕事は財務や経理などの企業の資金に関することから、法務や人事などを含めた管理部門全体まで多岐に渡ります。
【キャリア形成】
スタートアップ・上場準備会社では、公認会計士としての高度な専門知識と応用力を生かしつつ、事業の成長に不可欠な重要な経営判断に必要な数字をまとめることや、緻密で高度な分析力が期待されます。スタートアップ企業でのキャリアとしてまず考えられるのは、その会社のCFOや管理部長になることです。IPO実現達成を果たしたあとも、その会社の役員としてキャリアを継続していく人も多くいます。CEO(最高経営責任者)等とともに会社経営をマネジメントする経営者として専門的な知識を活かしながら、組織内の一員として会計、更には経営に携わることができます。


(4)コンサルティングファーム


コンサルティングファームとは、企業の抱える課題に対して意見を求められ、解決まで導く企業のことを指します。コンサルティングファームにも種類が様々あります。

<総合系>
例:デロイトトーマツコンサルティング、アクセンチュアなど
企業・事業戦略立案~IT戦略立案・システム化構想策定といったいわゆる上流フェーズから、会社総体としてあらゆるコンサルティングサービスを幅広く手掛けているコンサルティング会社です。

<戦略系>
例:マッキンゼー・アンド・カンパニーなど
大企業や外資系の顧客を中心にグローバル展開をしている会社が多く、各地域・国ごとにローカライズしたコンサルティングサービスを提供しており、最近は各社差別化を試みています。

<財務アドバイザリー系コンサルティング>
例:PwCアドバイザリー合同会社、株式会社KPMG FASなど
財務会計・税務のアドバイザリーの他、M&Aや企業再生、粉飾決算などの不正会計調査を担当する係争分析、不動産投資のスキーム作成、売買譲渡手続き支援なども展開しています。

<企業、事業再生系>
例:株式会社経営共創基盤など
業績が著しく悪化したり、危機的状況にあったりする企業を専門に手がけるコンサルティングファームです。

<IT系>
例:アビームコンサルティング株式会社など
システム構築やITを使ったビジネスを駆使したサービスを展開しています。

<シンクタンク系>
例:富士通総研、野村総合研究所など
いわゆる「研究所」としての役割、側面も持っているコンサルティングファームもあります。

<マーケティング系>
例:1. ボストン・コンサルティングなど
ブランドマーケティングやマスマーケティングなど広告を使ったマーケティング戦略を用いてサービスを提供しています。

<人材系>
例:マーサージャパンなど
人材戦略、採用、評価などに対してサービスを提供しています。


【会計士が活躍しているコンサルティングファーム】
会計士が経営コンサルタントに転職する場合、一般的なのは、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)などの財務・会計系コンサルティングファームです。Big4監査法人系、税理士法人系、および独立系ブティックなど種類がいくつかあります。
BIG4のFASにはDTFA(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社)、株式会社KPMG FAS、PwCアドバイザリー合同会社、EY SC(EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)があります。

【FASの業務内容】
FAS会社での主な業務内容は、M&A、事業再生、およびフォレンジック(不正リスクマネジメント)などです。財務デューデリジェンスや企業価値評価、内部統制などの会計士としての知識と経験を生かしやすいことが挙げられます。
中でもBIG4のFASは、最大手監査法人に属し世界中に幅広いネットワークを有するため、多岐に渡る産業分野にクライアントを有するほか、M&A戦略の策定からPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)までM&Aの全工程をワンストップで提供できるのが大きな特徴です。

・財務デューデリジェンス業務
M&A取引において、対象会社または事業の財務についてその状況、
リスク、課題を検討する調査です。

・企業価値評価
企業価値を最大化することを目的として、資金を調達し、事業に投資し、
調達元に資金の返済や還元をしていく活動です。

・フォレンジック
  企業で発生する会計不正を中心に、不正発生時の対応のみならず、不正の予防、
早期の発見などといった業務も及びます

【キャリア形成】
監査法人や税理士事務所を母体とした財務アドバイザリー系コンサルティングでは、株式公開支援、M&A支援、事業承継支援、企業再生支援、海外進出支援等のサービスを提供しており、会計士としての知識や経験を活かすことができます。戦略系コンサルティングファームで就業する場合は、クライアントが置かれた多様な状況を分析し、財務会計状況を理解し、その情報をもとにして問題解決のための戦略を立案する思考力が必要です。将来のキャリアを見据えながら、自分に合った道を選択することが大切です。

(5)税理士法人


令和5年3月末日時点、国内の税理士法人は4,844社存在します。
税理士法人とは、税理士法において「税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人をいう」と規定されています。
税理士法人での仕事内容は、記帳代行、税務申告、税務コンサルティングの3つにわけることができます。

記帳代行
記帳代行とは、日々の取引仕訳を会計ソフトに入力していく作業(を代行する作業)をいいます。
この業務は、通常クライアント企業側で行うケースが多いですが、経理のマンパワーが足りないような場合には税理士法人のサービスとして代行することになります。
ただし、BIG4では通常このようなサービスは受けず、中小税理士法人の方が関与する頻度は多いです。
証憑をもとに入力をしていくため、非常に細かくルーティン化された作業になります。

税務申告
税理士法人でのメインとなる業務が、税務申告です。クライアントの税務申告作業を代行する業務です。クライアントから申告に必要な資料を入手し、それを元に確定申告書を作ります。BIG4の場合、大体4名程度のチーム編成(スタッフ+シニア+マネージャー+パートナー)で行うことが一般的です。
作業はまずスタッフが申告書を作成し、それをシニア→マネージャー→パートナーの順でレビューするという流れになります。

コンサルティング業務
メインとなる税務申告以外に、コンサルティング業務があります。
組織再編税制関連、国際税務関連、相続税関連などが代表的なフィールドです。
組織再編税制関連では、M&Aを行う際の税務上有利な買収スキームの提案などがあります。国際税務関連では、たとえば移転価格税制のアドバイザリーなどがあります。
いずれも専門性が非常に高いため、BIG4の専門部署で対応するケースが多いですが、一部の中小税理士法人でもサービスを提供しています。


【BIG4税理士法人と中小税理士法人の違い】
監査法人出身の会計士の方であればイメージできると思いますが、BIG4での税務は専門性が非常に高いです。以下の税務コンサルティング業務は、主にBIG4で関与するサービスです。
組織再編(M&A)に関連する税務
国際税務(移転価格税制など)に関する税務
事業承継の支援や相続税に関するアドバイザリー
税務調査や税務係争への対応

中小税理士法人では基本的に「記帳代行」「税務申告」を主たるサービスとしています。

【キャリア形成】
税理士法人に就業した場合、会計知識に加えて税務スキルが最短で身に付けることができます。中小税理士法人であれば、主に法人税関連(記帳から申告まで)を経験でき、BIG4であれば加えて専門性の高い税務を経験できます。
また、税務申告以外にもIPOやM&Aなどに関与でき、税務以外の周辺スキルが身に付く可能性があります。ゆくゆく開業を考える場合、税務知識を身につけておくためにも税理士法人で就業する方も多いです。


(6)金融機関


金融機関は、金融ビジネスを業務とし顧客に対して各種の金融サービスを提供する企業または組織を指します。 金融機関は、1.金融の形式、2.預金の取り扱いの有無、3.公的金融機関か民間金融機関かで分けられます。
銀行(都市銀行、地方銀行)、信用金庫、証券会社(中小~大手、外資など)、保険会社、リース会社、不動産金融、などが多様な企業があります。

銀行
銀行の三大業務といわれているのが預金・融資・為替業務です。 預金業務は顧客のお金を預かる仕事です。融資業務は資金を必要としている企業(または個人)に利息をつけてお金を貸し付ける仕事で、融資担当者がその業務を行います。為替業務は振込、手形の発行などをすることです。

証券会社
株や債券といった有価証券を取り扱い、売買の仲介や引受業務を行うのが証券会社の仕事です。 世の中には投資先を求めている投資家の市場が存在し、他方には投資家を探している企業群が存在しています。 これら2つのマーケットを結びつける役割を果たしているのが証券会社です。


投資銀行、PEファンド
投資銀行は企業の資金調達サポートやM&A関連のアドバイザリーを提供する会社のことを指します。「銀行」と付きますが証券業の一種で、預金や融資機能があり一般の人が日常使いする銀行とは別のものです。
PE(プライベートエクイティ)ファンドとは成長期を過ぎた安定した企業に投資するファンドのことです。


【会計士が金融機関で担う業務】
金融機関にてバックオフィス業務を担う場合や、フロントに立って顧客対応していく形になります。バックオフィスポジションとしては経理業務を担うことになります。とくに複雑な会計処理が求められやすく、国際的な会計基準への体制整備を進めている大手銀行でニーズがあります。また、M&Aにおいて財務や経済的な条件をアドバイスするFA(ファイナンシャルアドバイザリー)の業務を担うこともあります。

フロントに立って顧客対応する場合について、投資ファンドでは投資対象に十分な企業的価値があるか、リスクはないのかといったことを調査するデューデリジェンス業務や、企業価値を評価するバリュエーション業務などがあります。金融機関でも同じく投資業務やM&A支援業務を行っているため、公認会計士の知識を活かしていける場面は多くあります。
大手の証券会社では、自社のクライアント向けに相続対策や資産承継、事業承継の支援などのサービスをしている会社もあり、そのような環境でのコンサルティング業務につくこともできます。

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