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「会計士の転職」「税理士の転職」を
考えるコラム
仕事の探し方と働き方

会計士の転職先・転職市場動向

日本の公認会計士は試験合格者を含めて約4万人です。その約40%がBIG4、約5%が中小監査法人で働いています。また、2018年12月時点の組織内会計士は1,745名と約5%です。半数の会計士は、それ以外の働き方をしているということです。会計士のキャリアは十人十色。本コラムでは、個性的な会計士の「生き方」に触れていきます。

フォレンジック調査と会計士

フォレンジック調査と会計士
■フォレンジック調査とは

まず、フォレンジック調査とは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器から不正や違法行為に関する法的証拠を抽出する作業を言います。

横領や着服などの社内不正調査、マルウェア感染やサイバー攻撃などのサイバーインシデント調査、などがあり、他にもデータの復旧やパスワード解除などデジタル機器にまつわるトラブルに対応することもあります。

そこで、データへのアクセスに関して、技術的問題、法的問題があり、様々な関係者の存在があります。

会計士にも監査証拠としての会計データ等について関連があり、会計不正の発見や内部統制上の問題の発見などの課題が残されています。


■フォレンジック調査の必要性と会計士のニーズ

企業の活動のペーパーレス化やコンピューターへの依存に伴うデータのデジタル化に加えて、スマートフォン等の普及により連絡手段そのものの電子化という状況があります。そんななか、不正の態様も電子化による不可視化の状況が進み、そのような手段に対応するためデータ自体を法的証拠として残す必要性が生じました。

会計士の.役割もこれに関連することになります。一般的な監査手続として、仕入先との取引に関して、商品の納品書・検収書・請求書・領収書といったものの閲覧があります。こういったデータは相互に関連性があります。例えば請求書の後入金がなされそれに対して領収書が発行されるわけです。このように一般的な証憑間の整合性や不正の認識に関しての会計士の蓄積したノウハウは生かされるでしょう。


■ 発生した不正事例

(ア) ライブドア事件

2006年のライブドア事件では家宅捜索が行われると察した事件関係者は4万通とも5万通ともいわれたメールを削除。証拠隠滅です。ここでフォレンジック調査が行われました。完全削除を意図したものもあったがそれも発見されました。被疑者が使っていたパソコンから不正行為を行った証拠や日時などを特定できました。

(イ) オリンパス事件

オリンパスが過去のM&Aにおいて不透明な取引と会計処理を行っていたことが2011年報道されました。当時の社長の解任も含め、「とばし」という会計不正が行われ長年の損失隠しを図っていました。一連の不祥事についてフォレンジックによる証拠収集が行われ事実が明るみに出ました。

(ウ) 人材派遣会社顧客情報漏洩事件

人材派遣会社の元営業幹部が担当派遣社員に対して退職を促しクライアントからバックマージンを受け取り、なおかつ元営業幹部本人の転職先の同業界の会社への情報漏洩が疑われその保有していたパソコンを対象としたフォレンジック調査が行われました。退職勧誘や元営業幹部の設立した法人の出納帳データが見つかり事件の究明に繋がりました。

(エ) 大手製薬会社の元社員による臨床研究論文データ改ざん事件

ある製薬会社の元社員が論文データを流用し、海外の医学雑誌に論文発表をしていたという疑いがありました。そこで同社は第三者員会を立ち上げフォレンジック調査が行われていました。そこで臨床研究のデータがすべて当該治療薬のメーカーによるものであることが明るみに出て、担当者が逮捕される事件となりました。


■フォレンジックの現場

以上述べたようにフォレンジックの現場においてはIT技術者・捜査関係者・セキュリティー会社等の相互の協力が必要です。何を目的にするのかを明確にしない限り単なる捜査です。しかしそれは決して会計不正についてだけの問題ではなく、そもそも不正が行われる際に残した痕跡の問題です。会計士だけではなくさまざまな関係者が関わってきています。その中でやはり捜査といっていい面もあります。ただ最後そういう手法に頼り事実が明るみにあることが認知されればいずれにせよ不正の抑止力にはなるはずです。


■BIG4のフォレンジックサービスについて

それぞれのファームのネット上の表示を抜粋させていただきます。

(ア) EYフォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社

「EY新日本有限責任監査法人100%出資会社で、Forensic & Integrity Servicesの事業の一部である第三者委員会委員就任業務を専門に行います。(抜粋:EYフォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社 | EY Japan)


(イ) DTT ファイナンシャルアドバイザリー合同会社

会計不正や情報漏えいといった不正が発覚した際,適切な調査を実施するためにデジタルフォレンジック技術は必要不可欠です、組織が保有する電子データに含まれる証拠を高度な技術を活用し検出することで、訴訟を前提としたデータ保全を行い、事実調査をサポートします。(抜粋:デジタルフォレンジック|不正対応・係争サポート|デロイト トーマツ グループ|Deloitte)

(ウ) KPMG FAS

情報漏洩、不正会計、横領・窃盗等の不正。不祥事の調査、およびe-Discoveryにおいて、デジタルデータの保全・復元・解析を行うサービス(デジタルフォレンジックサービス)を提供します(抜粋:デジタルフォレンジック - KPMGジャパン (home.kpmg))

(エ) PwCアドバイザリー合同会社

フォレンジックサービス
不正調査、贈収賄および不正競争の事実調査やリスクマネジメント、デジタルフォレンジックス、eディスカバリーへの対応やロイヤリティ監査など、広範なサービスを提供します。(抜粋;フォレンジックサービス | PwC Japanグループ)


■最後に

フォレンジックに関して様々な分野からアプローチがなされています。そこで出てくる登場人物はその役割を演じています。しかし、そこにあるのは、いわゆる、「鑑識」ということばではないでしょうか。確かに会計士は不正発見を監査の第一目的にはしません。ただ、普通に使っている監査証拠というもののひとつとしてこのフォレンジックが入った際に会計士らしい対応ができると素晴らしいと思います。

また会計士は監査先の会社の組織を内部統制という視点で見ています。主に人と人との関係が中心となりがちですがそこの介在するデータについてその成り立ちから動き方まで見ていく時代となっているのです。

繰り返しますが不正の発見が第一義でないにしても期待されている部分にはしっかり応えなければならないし、関係者との連携も必要です。技術的なことはさておき組織として動くところの情報の飛び交いを、しっかりと、追う必要がありそうです。

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