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「会計士の転職」「税理士の転職」を
考えるコラム
仕事の探し方と働き方

税理士の転職先・転職市場動向

税理士は日本全国で約75,000人います。しかし、その平均年齢は60歳を過ぎており「税務実務の現場」では、若手職員が危機的に不足しています。税理士受験者数は減少を続け2019年には29,779名となり、3万人を割り込みました。税理士業界は採用難時代となり「入社条件」は緩和される一方なのです。今日、大手税理士法人でも1科目合格者や未経験の新卒を積極的に採用しています。類を見ない売手市場の今、好待遇で会計税務のコンサルタントとして活躍できるチャンスが溢れています。本コラムでは「税理士業界でキャリアを築くヒント」を不定期に掲載していきます。

税理士試験合格後、理想のキャリアを築くためのポイント

税理士試験合格後、理想のキャリアを築くためのポイント
税理士試験は、原則会計学2科目と税法3科目の計5科目の合格が求められる非常に難易度の高い国家資格です。科目それぞれの難易度も非常に高く、5科目合格するために3000時間以上の学習時間が必要と言われています。
本記事では、税理士試験合格後のキャリアデザインをされる方に向けて、就職活動の対策など理想のキャリアを築くためのポイントをご紹介します。

初めての就職活動で成功するための重要なポイント


現在、この記事をお読みの方の中には、難関の税理士試験に合格、及び科目合格し、会計事務所や税理士法人への就職を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際は税理士試験を合格したから必ずしも就職できるというものではありません。就職に対する見通しや考えが甘いと、非常に苦労することになります。
本章は、これから初めての就職活動を控える方に向けて、就職活動を成功させるポイントを紹介していきます。

① 自己理解~彼を知り己を知れば百戦殆からず~


就職活動は情報戦です。自分自身や事務所や法人について情報をどれほど持っているか、それらの情報に対しどれほど理解を深めているかが、就職活動の重要なポイントとなります。特に、自らをアピールする就職活動において、自分自身について理解を深めることは非常に重要です。

自分自身について深める方法は、自己理解です。自己理解とは、自らの特徴や価値観などを深く理解し、自らの特性として受け止め、客観的に理解することです。自己理解を深めることで、自らのパーソナリティを把握し、かつ「私」という自己の軸を定めることができます。また、将来にわたるライフキャリアデザインの基盤をつくることも可能です。このように自己理解は今後のキャリアの大きなきっかけとなりますので、以下の手順で深めていきましょう。

〈自己理解のポイント〉
・「自分史づくり」:
これまでの人生(事実と感情)を洗い出す作業です。自己理解のベースとなりますので、自分史はただ事実の羅列をしないように注意しましょう。過去の体験や行動の中には、自分の「強み」と「価値観」が反映されています。できるだけ詳細に書き出し、今の自分からみた意味づけを行います。
・「自己(他己)分析」:
自らの長所や短所、価値観を客観的に見つけ、評価する作業です。ただし、人間は自分自身を評価する際に認知バイアスがかかりがちで、自らのすべてを客観的にみることが容易ではありません。そこで、周囲と協力し他己分析も活用しましょう。第三者視点での評価は、意外と自分では気づけなかった潜在的な側面などを見つけることができるのでお勧めです。
・「自己の確立」:
自らの強みと価値観を文章で自分らしく表現する作業です。自らの強みを具体的に「何ができるか」と表現し、その動機となる「価値観」を入れつつ、納得のいく強みのフレーズの完成を目指します。

以上の手順を通して、パーソナリティを把握し、自己の確立をすることで、就職活動の面接などで自らをより効果的にアピールできるようになります。また、目標に向けた最適な意思決定やキャリア選択を行うことができ、その後のキャリアにおいて納得感や満足感を得やすくなります。

② 情報収集~彼を知り己を知れば百戦殆からず~


次に、情報収集についてです。情報収集の主な目的は、税理士業界の動向について知ること、会計事務所や税理士法人の特徴や求めている人材像を把握することにあります。しかし、近年の税理士業界の採用市場は短期のスピード勝負となっており、効率的に適切な情報を集めることが求められるようになりました。税理士業界に対する情報収集は何を活用するべきなのでしょうか。以下の方法が挙げられます。

・事務所、法人の公式採用サイト、および公式SNSを活用する
公式採用サイトや公式SNSでは、理念やビジョン、事業内容などの企業情報や社員インタビューが紹介されています。これらの情報は、それぞれの事務所や法人がどんな価値観を重視しているのか、アピールポイントは何かを理解するうえで非常に有効です。また、就職イベントの案内もされているため、機会を逃さず積極的にイベントに参加し、イベント担当者から直接「生の情報」を集めましょう。より深い企業研究を行うことができます。

・専門学校や資格予備校が発刊する求人情報誌を活用する
・専門学校や資格予備校が開催する合同就職説明会に参加する
専門学校や資格予備校の求人情報誌や合同就職説明会を活用する大きな利点は、複数の事務所や法人を一度に比較できることです。
求人情報誌では、様々な法人情報や求人情報が掲載されており、新たな事務所や法人の特徴などを知ることができます。これらも合わせて比較することで、業界に対する理解を深めることができます。そして、合同就職説明会は、多くの事務所や法人が参加しており、それぞれの人事担当者や営業担当者と直接話すことができます。採用サイトやSNSには載っていない仕事の詳細や社内の雰囲気などを気軽に質問することで、担当者の人柄も含め総合的に研究することができます。

以上、情報収集について紹介しましたが、採用側は、求職者が企業や業務に対しどれほど理解を深めているか、どのようにキャリアを描いているかという姿勢を見ています。情報収集を怠らず、企業に対し積極的な姿勢を見せることが重要です。
ちなみに、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」をご存じでしょうか。これは孫子の兵法の有名な一節で、敵と味方の情勢をよく知って戦えば、何度戦っても敗れることはないという意味です。また、この一説に続いてこのようなことが書かれています。

彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。
彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。

自己理解や情報収集をおろそかにせず、それぞれに対する理解を深め就職活動に臨むことが何よりも重要であるのです。

③ 社会人マナーの習得


初めて就職活動を行う方にとってつまずきやすい点として、社会人マナーが十分に習得できていないことが挙げられます。社会人マナーは社会人への第一歩ともいえる、社会人の最低限の、かつ最も重要な基礎です。しかし、このマナーは社会人として働いた経験がないとあまり意識しないものが多く、習得できていないまま就職活動に臨み、失敗してしまう事例が多くあります。以下の表につまずきやすいマナーを一部抜粋して紹介します。

③	社会人マナーの習得


これら以外にも、上座/下座や懇談会でのマナーなど様々な社会人マナーがあります。マナーに関する解説や研修は、各種マナー講座や様々な媒体で行われているので、どんなマナーがあるかを調べ、習得していきましょう。
マナーを習得することにより、社会人と接する際にも、社会人を相手にした立ち振る舞いや言葉遣いなどで不安に感じることが少なくなり、面接など就職活動にてパフォーマンスを発揮しやすくなります。また、特に、身だしなみや立ち振る舞いは採用側に対するノンバーバルなメッセージとなります。社会人マナーを習得し、採用側に良い印象を与えるよう心がけましょう。

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