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税理士の転職先・転職市場動向

税理士は日本全国で約75,000人います。しかし、その平均年齢は60歳を過ぎており「税務実務の現場」では、若手職員が危機的に不足しています。税理士受験者数は減少を続け2019年には29,779名となり、3万人を割り込みました。税理士業界は採用難時代となり「入社条件」は緩和される一方なのです。今日、大手税理士法人でも1科目合格者や未経験の新卒を積極的に採用しています。類を見ない売手市場の今、好待遇で会計税務のコンサルタントとして活躍できるチャンスが溢れています。本コラムでは「税理士業界でキャリアを築くヒント」を不定期に掲載していきます。

相続専門の税理士になるには

相続専門の税理士になるには
 「相続」とは、亡くなった人(=被相続人)の財産などの権利・義務を、残された家族など(=相続人)が引き継ぐことをいいます。人が死亡した場合に、誰が相続人となり、遺産がどのように承継されるかなど、民法に定められたルールなどに基づいて相続を行います。
 これら財産を引き継ぐ際に生じるのが相続税です。税理士業務において専門的な知識が非常に求められる分野であり、社会の高齢化や法改正に伴いニーズが増加している分野です。今回は相続に携わる税理士の業務内容や求められるスキルについて紹介します。

1. 相続コンサルティングの仕事


 相続に関する業務は様々ありますが、生前対策コンサルティングと相続税申告業務に大きく分類することが出来ます。資産税は高額になることが多いため、両者ともにクライアントから税金対策として期待される業務です。事前の準備や遺産分割の方法によって課税額が大きく変わり、また租税特別措置法などに定められている特例も数多くあるため、複雑な分野といわれています。

●生前対策コンサルティング
 生前対策とは、将来起こる相続に備えて生前から税金対策を図ることをいいます。生前対策コンサルティングは、被相続人に対し税務の専門家の立場から、遺産分割のための対策支援、納税資金確保のための対策支援、相続税の軽減対策支援などの業務を総合的に行います。
 生前対策コンサルティングは基本的な業務は以下の流れで行います。

(1)ヒアリング、親族関係・財産の整理
(2)保有財産の評価および相続税の試算
(3)遺産分割方針の決定
(4)相続税対策の検討・実行支援

 相続税の試算や贈与シミュレーションなどを踏まえて具体的な相続対策を提案するため、まずクライアントからご家族の状況や財産の概要などをヒアリングします。これにより、クライアント自身が認識していない問題点や課題を抽出し、その後、財産の評価や相続税の試算を行います。
 そして、財産評価や相続税の試算を行った後に、クライアントの相続に関するご要望をお伺いし、相続税法上最も有利な相続税対策を提案します。相続税対策には、生前贈与で相続財産を減らす、現預金を活用して不動産投資を行う、一時払いで生命保険に加入するなど様々な方法があります。ただし、生前贈与を行う場合は贈与税が課税されるため、相続税対策を目的に生前贈与を行うときは贈与税も考慮した検討・提案する必要があります。
 クライアントの要望や状況に応じた最適な税金対策を提案するため、税理士自身の手腕が試されます。

●相続税申告業務
 被相続人が亡くなられた際の相続についての業務です。相続人は申告・納税の義務があり、被相続人の死亡を知った10ヶ月以内に相続人から依頼を受けた税理士が申告書を作成し税務署に提出します。
 相続税申告業務の主な流れは以下の通りです。

(1)相続財産の調査~財産目録の作成(※生前対策から対応していれば確認のみ)
(2)相続人の調査
(3)遺産分割協議書の作成(※本来税理士業務には当たらないため、他の士業と連携して対応)
(4)相続税の申告

 まず、相続財産や相続人の確認・整理を行います。そして、相続税が課税されるのかを判断し、課税される場合は、税法の範囲内でお客様が支払う税金ができるだけ安くなるよう特例や評価の減額要素を徹底的に検討し、相続税の申告を行います。これが、相続税申告の中心業務です。ただし、相続税の申告は、法定相続人の確定や遺産分割のサポート、土地や非上場株式などの相続税評価額の算出などやるべきことが多いうえに、申告書を提出した後で税務調査が行われた場合は、その立ち合いも行う必要があります。

●国際相続に関する業務
 また、現代のグローバル社会において、国際相続に関する業務が発生することがあります。国際相続とは、相続財産や相続人が国境を越える相続のことを指します。基本的な相続手続きの流れは、財産調査、相続人の確認、遺産分割協議、そして相続税申告を行うという点で国内相続と変わりません。しかし、国際相続の場合、個別の事情により適用される法律が異なるため、手続きが複雑になることがあります。
 日本における国際相続は基本的には以下のような考え方を適用しています。

「相続は被相続人の本国法が適用される」
「日本国内の財産は日本の相続税の課税対象である」
「海外資産への課税は相続関係者の国籍や居住地、移住時期を基準に区分する」

 これらの考えのもと、日本の国際相続では被相続人の国内財産は日本の相続税の課税対象のため、日本の相続税法に則って申告手続きを行います。一方で、海外資産は相続人の国籍や居住地、移住時期を基準に課税対象か判断します。もし課税対象であった場合は申告手続きを行いますが、複雑な場合が多いです。特に不動産の相続では、動産と不動産を相続税法上区別する「相続分割主義」を採る国があり、相続分割主義の国に保有する不動産の場合、不動産の相続はその所在国の法律が適用されるケースもあるため、相続手続きが複雑になる可能性があります。また、相続が裁判手続きで進められる「プロベート制度」や相続税の二重課税を回避する「外国税額控除制度」など国際相続に関する各制度に従った対応を行うケースもあります。

2. 相続コンサルティングに求められる能力


 相続コンサルティング業務において、税理士は様々な能力を求められます。主なものとして以下が挙げられます。

 (1)税法(相続税、法人税)、相続に関する民法、簿記会計並びに評価の知識
 まず、大前提として税法並びに民法に関する深い知識を有していることが求められます。資産税は、税法を適用する前提となる事実の把握や解釈の多くを民法に依存しています。そのため、相続を取り扱う場合は、税法だけではなく民法の深い理解が不可欠です。
 また、被相続人が所有している土地の上に同族法人の建物があったり、法人所有の土地の上に被相続人の所有している建物があったりする場合、借地借家法や法人税・相続税における借地権課税の理解が相続実務では不可欠です。さらに、相続税は財産の評価も非常に重要となっており、財産評価理論や会計分野に対しても理解を深めていることが求められます。

 (2)専門的な知識などをクライアントが理解できるようわかりやすく説明できる提案力
 税理士は常に最新の税務知識などについて学び知識をアップデートすることが求められますが、同時に税務の専門家としてクライアントに対しわかりやすく説明することが求められます。
 税理士が行う相続コンサルティング業務は、税務や民法に対する知識を持たないクライアントとしては何が行われているのか、どの程度の節税になるのかがイメージすることが難しいケースが多くあります。税理士はクライアントが理解し納得できるように、専門的な内容を明確かつ簡潔に説明し安心感を提供しなければなりません。
 クライアントが理解し納得できる形での説明と提案ができることは、税理士に求められる重要なスキルの一つです。

 (3)信頼関係を構築できる深いコミュニケーション能力
 税理士は専門性や信頼を基盤にする職業です。適切なサービスを提供するためには、クライアントから信頼され、心を開いていただかなければなりません。特に、相続は人の死に関わることであり、それに関連することは非常にデリケートです。彼らにとって話しにくいことは多分にあります。適切なサービスを提供するためには、丁寧な言葉遣い、クライアントを最大限気遣うなど信頼関係を構築できる、深いコミュニケーション能力を備えていることが求められます。
 以上、相続コンサルティングに求められる能力について紹介しました。相続はクライアントとその家族、親族の非常に個人的な部分に立ち入る仕事です。守秘義務だけでなく、見聞きしたことに対して自分の感情を表すことは望ましくありません。親身になって話を聞くことは大切ですが、クライアントと適切な距離感も保つことも大切です。

3. 相続税に強みを持つ会計事務所


 相続分野に強みを持つ会計事務所・税理士法人を紹介します。
 (1) 国内大手税理士法人
 ア.  辻󠄀・本郷 税理士法人
 2002年に設立された、国内90拠点、海外7拠点を展開する国内大手の総合型税理士法人です。相続分野に力を入れており、相続分野に専門特化した相続センターを全国に展開し、相続税申告は年間5,276件(※2023年10月~2024年9月)という全国トップクラスの実績を誇ります。
 「私たちは、お客様の伴走者であり続けます。」をミッションに掲げており、お客様の最良のパートナーであり続けるため、社員の知識習得をサポートする様々な研修メニューを用意し、多様化する顧客ニーズに応えられるプロフェッショナルに成長できる環境を整えられています。

 イ. 税理士法人 山田&パートナーズ
 1981年に設立され、国内20拠点、海外7拠点を展開する国内大手の総合型税理士法人です。資産税分野を主力事業の一つとしており、40年以上にわたる実績とノウハウを有しています。相続税申告件数は年間2,272件(2024年)、相続・事業承継コンサルティング件数は年間1,453件(2024年)の実績を誇ります。
 社員のキャリアアップを支援する様々な研修制度や各ライフイベントに関する支援制度などが設けられており、社員のキャリア像やライフステージに合わせた働き方を実現できる環境が整っています。

 (2) 国内準大手税理士法人
 ア. ランドマーク税理士法人
 1997年に設立された、東京都市圏に15拠点を展開する税理士法人です。資産税分野において、都市農家・地主・経営者に対し申告サポートや節税コンサルティングなどを行っています。年間1,265件の相続税申告の実績を持ち、そして、税務調査となった事例は年間申告件数に対し1%未満と高水準なサービス品質を強みとしています。
 「社員全員を税理士に」という方針のもと未経験からでも税務のプロフェッショナルへ成長できる環境が整っており、実務に直結する専門スキルを養う研修カリキュラムなどの様々な教育制度が設けられています。

 (3) 少数精鋭型 
 ア. 銀座K.T.C税理士法人
 1990年設立の税理士法人で、税金に関わるリスクを未然に防ぐ「攻めの税務」を方針に事業を展開しています。相続分野では「相続・事業承継グループ」という専門チームを設け、「相続カルテシステム」など法人独自のきめ細かいサービスを提供し、クライアントの資産状況を精査しながら最適なサポートを行っています。
 30名以上の税務スタッフのうち約60%が有資格者であるため、専門性が高い環境です。また、資格取得への支援体制が充実していることが特徴で、1ヶ月間の試験前休暇や個々の事情に応じた業務の設定などの支援体制が整えられています。

 イ. 株式会社アクセスコンサルティング 江口会計事務所
 1995年設立の会計事務所です。大型資産税・相続税分野で富裕層のお客様や金融機関から高い評価を得ています。税務スタッフ数は11名で、そのうち9名の税理士は全員が官報合格者というプロフェッショナル集団で、「一期一会」と「顧客第一主義」を企業理念のもと、他士業や金融機関と連携し、お客様一人一人の立場に立ったプランの提案や将来への総合的なサポートを目指したコンサルティングを行い、案件数の多さを追うことなく、対応力と質の高さを大切にしています。
 人材育成にも力を入れており、資産税分野未経験の方でもその道の専門家として成長できる環境が整えられています。

 これらのほかにも京阪神都市圏や名古屋都市圏など各都市圏を中心に活動する事務所、地域に根差し活動する地域密着型の事務所があります。

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