監査法人・コンサルティング会社を経て独立開業
代表取締役 桂川恵利子さん
外国語大学への入学とシアトル留学を経て公認会計士を志す
岡山県出身の私は、医療通訳を志して大阪外国語大学(現大阪大学)の英語科へ進学しました。最初の授業で自己紹介をしましたが、同級生は帰国子女を含めたネイティブスピーカーだらけ。どんなに努力をしても「英語だけでは勝負にならない」と痛感し、入学間もなく人生最大の挫折を味わいました(笑)。そこで、「英語×専門性」で自分のキャリアを差別化できないか?と考えをシフトさせます。
もともと数字が好きだった私は、大学在学中にシアトルで1年間、会計の専門学校でアカウンティングを学ぶことを決意しました。留学費用は全額自費負担。様々なアルバイトをかけもちし、働き詰めで稼いだ貯金を使い切っての留学でしたので、短い期間ではありましたが「何が何でも英語を習得してやる!」と心に誓いました。
シアトルの留学先では周囲の学生の多くがUSCPA(米国公認会計士)でした。私も当初はUSCPAを志そうと思いましたが、留学から帰国した際に「日本の公認会計士」を目指そうと決心します。4回生で短答式試験を通過し、その翌年に論文式試験に合格。あずさ監査法人大阪事務所に入所しました。
米国の現場責任者として多国籍の監査チームを束ねる
あずさ監査法人大阪事務所には2011年に入所し、8年間お世話になることになります。入所時は第3事業部(通称国際部)とIT監査部を兼務していましたが、途中からは国際に専念。日系グローバル企業から外資系企業まで幅広い業種のクライアントを担当しました。海外各国との英語でのやりとりは日常的であり、海外出張の機会もいただきました。国際部の仕事では、本国・現地のクライアントのみならず監査法人の見解が分かれることもあり、それらの調整に努めることも珍しくありませんでしたが、学生時代に国際ビジネスコミュニケーションのゼミで鍛えられたおかげからか、人の間に入ることは割と得意な方でした。
入所4年目にはKPMG US のコロンバス事務所へ赴任しました。学生時代に描いていた「英語×専門性」の第一歩を踏み出すことができたのです。赴任した初日から多国籍の監査チームの一員として働き、日本人は私一人きりの現場で現場責任者として任されることもありました。激務で遊ぶ間もなく働き続けましたが、周囲のメンバーに恵まれ大きく成長することができたと思っています。
また、社内の組織再編をきっかけにIPO部門にも携わらせていただくことになりました。コンサルティングファームに転職した現在も、IPOを目指すお客様の支援をさせていただく機会を多くいただいておりますが、前を向いて挑戦されるお客様の夢を叶えるお手伝いができることは、公認会計士になってよかったなと思う醍醐味の一つです。
グローバルプロジェクト「Dynamic Audit」への参画
2015年頃に、「Dynamic Audit」という全く新しい監査手法に取り組むプロジェクトについて、KPMGグローバルファームのパイロットチームの現場責任者として参画する機会をいただきました。Dynamic Auditとは、グローバル企業の監査についてテクノロジーを駆使しながら集約して解析を行い、各海外拠点と連携を取って世界水準で監査品質を高める監査手法のことです。スイスのKPMGセントラルチームと世界各国のパイロットチームがお互いに連携を取りながら、各国で上がってきた課題に対して改善活動を行っていきました。
日本でももちろん初めての試みで他社事例もなく、外資系ファームのグローバルとしての監査手法を、日本国内の会社法監査に対して一体どこまで取り入れられるのか、どれだけ効果的かつ効率的にできるのか、本当に試行錯誤の毎日でした。シンガポール事務所からの駐在メンバーと「あるべき監査とは?」を熱く議論しながら作り上げていった思い出は、今でも「自分で考えて、自分で行動する」という自分の軸になっていると感じます。
コンサルティング会社へ転職後「円満退社」を経て独立
2019年、私はみらいコンサルティング株式会社へ転職しました。市場のインフラである監査業務から、「自分のやったことがお客様からダイレクトに喜ばれる仕事」がしてみたいと考えるようになったからです。製造、アパレル、自動車、不動産など多業種のクライアントを担当し、IPO支援、グローバル経営管理体制構築支援、海外進出支援(インバウンド・アウトバウンド)、中期経営計画策定からM&Aまで幅広い業務を経験しました。
社長の右腕として、経営者の視点に立ちながらお客様の会社がよりよい方向に進むようなお手伝いができるように努めてまいりました。経営者が、家族にも、従業員にも相談できない局面に立たされた時に、誰よりも頼りにしていただけるような、そんな存在であり続けたいと考えております。お客様1人1人事情は違いますし、唯一無二の正解はないですが、私はコンサルタントという職業が天職であると確信しております。
みらいコンサルティングには約4年間在籍しましたが、代表の久保先生を始め、経営陣の皆様には「将来的に独立したい」という想いは入社間もない頃から伝えていました。独立前提の私を快く受け入れていただいたことには今でも心から感謝しています。2023年、私はセブンリリーズコンサルティング株式会社を設立。念願の独立を果たすことができました。実はこの看板(トップ写真)は、みらいコンサルティング代表の久保先生からプレゼントしていただいたものなんですよ。個人的には「史上最高の円満退社」を自負しております。育てていただいたご恩を忘れず、これからも成長していきたいと思います。
時間に拘束されない付加価値ビジネス
独立後は、みらいコンサルティングの仕事を業務委託で継続させていただきつつ、主には一般市場やプロ市場に上場したいお客様向けにIPOコンサルティングサービスを提供しています。お客様とは長期的なお付き合いを前提にしているため、M&AのDD(デューデリジェンス)や規程作成だけといったスポット案件には携わっておりません。一言でいうなら「経営者の夢をかなえるお手伝い」でしょうか。会計分野のみに関わらず、多岐に渡るご相談もいただき、名前のない仕事も多くあり、労働時間ではなく付加価値でフィーを頂戴するビジネススタイルです。お客様がどんどん成長していく姿を見ながら、独立してよかったなぁと噛みしめる日々を過ごしております。
将来的にスタッフを雇用して組織を大きくするつもりは一切ありませんし、顧客開拓のための営業活動は特に行っておりません。独立してからのお客様は、長年培ってきた士業ネットワークの方々からお声がけいただくことばかりで、改めて一期一会の大切さを痛感しております。自宅作業かお客様の元へ直接出向くことが多いので、事務所で仕事をすることはほとんどなく、その代わりに士業の情報交換場所として活用しています。
プロフィール
トップランナー 公認会計士 vol.9
セブンリリーズコンサルティング株式会社
代表取締役 桂川 恵利子 Eriko Katsuragawa
2010年大阪大学(旧大阪外国語大学)卒。
2010年公認会計士試験合格後、あずさ監査法人大阪事務所にてのグローバル企業、外資系企業の監査及びIPO支援業務を中心に従事。
2019年にみらいコンサルティング株式会社に入社。中堅中小企業向けにIPO 支援やグローバル経営管理体制構築支援など、幅広なコンサルティング業務に従事。2023年7月にセブンリリーズコンサルティング株式会社を設立。
元日本会計士協会準会員会代表幹事、士勇会(弁護士、不動産鑑定士、公認会計士の若手会)会計士代表。その他女性会計士委員会、ダイバーシティ推進委員会、経営委員会、厚生部等の委員として日本公認会計士協会活動に従事。趣味は旅行とお酒。お酒はほどほどに(自戒を込めて)。
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