IPOを通じて
生きた証を残したかった
執行役員CFO 髙田 拓明さん

公認会計士は多面的にバリューを発揮できる資格
埼玉出身の私は、小学校から高校まで野球一筋でした。その後、立教大学法学部に進学し、サークルとアルバイトに精を出す一般的な大学生活を送っていました。2013年に大学を卒業し、リース会社に就職。法人営業としてメガソーラーシステムや医療機器のビジネスローンを担当しました。営業の仕事自体は会社への貢献が直接的に見えるのでやりがいもあったのですが、常に予算に追われる辛さを感じていました。
「将来は手に職をつけてプロフェショナルとして仕事をしていきたい」そう思うようになった私は公認会計士という職業を意識し始めました。大学時代のゼミがコーポレートガバナンスをテーマにしていたことや在学中に大手企業の粉飾決算事件があったこと、法人営業として顧客の与信審査に携わったことも影響したのだと思います。公認会計士の仕事を自分なりに調べてみると、監査という仕事に留まらず、会計専門家として企業の中で活躍できること、コンサルタントとして経営をサポートすることもできる。公認会計士は、多面的にバリューを発揮できる資格だなと感じたのです。

働きながら会計士受験に挑戦しトーマツへ
公認会計士を志した私は、社会人2年目の秋頃からTACへ通い始めました。社会人受験生でしたので、しっかり勉強できるのは土日に限られました。「働きながらの短期合格は難しい」と判断した私は、入社3年目の夏に会社を退職。受験に専念することを決意しました。脱サラして受験に専念した以上、撤退することは考えられませんでした。背水の陣で臨んだ結果、紆余曲折ありながらも無事に論文式試験に合格することができました。
トーマツでは金融部門に配属され、主に金融機関やリース業界の監査を担当しました。当時を振り返ると、上司や先輩にも恵まれ、駆け出し会計士にとっては最高の環境で仕事ができました。製造業などの一般的な監査と異なり、金融特有の論点が多く、また銀行は求められる内部統制が強固であるため「あるべき会社の姿」を目の当たりにすることができました。

第三者ではなく当事者の立場で「生きた証」を残したい
金融部門で働き始めて3年が経過した頃「会社全体が見えるクライアントを担当したい」とう気持ちが高まり、スタートアップやベンチャー企業を担当するトータルサービス部(以下TS)へ異動しました。TS時代は、FinTechを中心に成長産業を担当し、中でもIPO支援をメインに取り組みました。IPOコンサルティングは華やかなイメージが先行されがちですが、想定していた事業計画を達成できなかったり、内部管理体制をうまく構築できなかったりと上場できないケースの方が多いのが現実です。そうした現場に「第三者」の立場として携わり、もどかしさを感じずにはいられませんでした。
「当事者として会社の中に入って上場を目指そう」と思った私は、約30社のスタートアップ企業を調べ、最も将来性と自身の活躍・成長の場があると感じた株式会社AVILENへの転職を決意。2022年5月から現職となりました。AVILENはAIソリューションを提供している会社で、目指すビジョンと経営陣の人柄に強く共感したことが決め手でした。加えて、社内外含めて上場に対してコミットしており、当時はJAFCOの支援も受けていたことも入社の動機です。
「日本ではスタートアップが育たない」などと言われがちですが、個人的にはそんなことはないと信じていました。それを実現できる会社で働きたいと強く思ったのです。スタートアップで働く魅力は、自分のカラーを出しながら会社を創造できること。貢献した組織を未来に残したい。公認会計士としてではなく、ビジネスパーソン、いえ、一人の人間として生きた証を残せると思えたのです。
上場セレモニーに参加し鐘を鳴らす
入社したのは上場申請直前々期(N-2期)から上場申請直前期(N-1期)に移行するタイミングでした。膨大なタスクを限られた期間でミスなくオンスケジュールで実行する大変さがありましたが、それを突破する楽しさとやりがいが勝りました。中でも、財務報告を正確に行う体制の構築が上場準備におけるバックオフィス機能の中で特に重要です。この点については、監査法人での経験を直接生かすことができ、月次決算から決算開示に至るプロセスの精緻化・高度化に貢献できました。
上場直前は、主幹事証券会社、東証、監査法人と綿密なコミュニケーションをとりながら膨大な書類作成や内部管理体制の構築に追われます。これらは、審査に求められる根拠を形成するものです。
2023年9月、株式会社AVILENは東京証券取引所グロース市場に上場を果たします。上場セレモニーに参加して鐘を鳴らした瞬間には、大きな達成感を味わうことができました。

企業価値を高め続けるミッション
上場後は求められることが大きく変化しました。CFOという立場で経営の一翼を担いながら企業価値を高めることが大きなミッションです。CFOとしての具体的な仕事は、事業計画達成に向けて予実管理や各種数値・KPIのタイムリーな連携、経営へのインサイトの供給・打ち手の検討、M&A等の非連続成長を実現するための投資に必要な資金の調達、IRや機関投資家対応など多岐にわたります。入社時30名だった組織も現在は100人規模まで成長しました。当初は少数で回していた管理部門も現在は、経理財務チームと総務法務チームを有し、管理部長を含めて約10人体制で戦っています。経理財務、IR、法務、総務領域のマネジメントを通じて、チームを強化し事業成長・組織拡大に伴走できるパートナーであり続けたいと考えています。

会計士の強みをどう使うのか?を考えるべき
公認会計士のスキルを活かせるポジションは様々です。監査法人での監査やFAS等のアドバイザリー領域で活躍することはもちろん、事業会社の中で活躍する会計士、独立して活躍する会計士、PEファンド等、投資側で活躍する会計士もいます。公認会計士のキャリアを考えたとき、数字に強いのは当たり前で「それをどう使うのか?」が課題になってくると思うのです。この課題を解決するためには、自身の知らない世界を知ることで、キャリアの選択肢の解像度を高めることが重要です。例えば、自分とは異なる環境で活躍している人に会うことが一番です。1つの業界にずっと身を置くと、どうしても視野が狭くなってしまいますので、環境を変えてみるというのは自身の可能性を広げる意味でも有効です。と言うのは簡単ですが、時には勢いも大事だなと思います。
会計士受験生へのメッセージ:
過去の決断を振り返ってみて、本当にこの道を選んで良かったと思っています。会計士になることで人生の選択肢が広がりますし、きっと今ご自身が想像している以上の世界が広がっています。目の前の勉強は大変ですが、一つ一つ地道にステップを上がっていけば必ず合格を勝ち取れるはずですので、諦めずに頑張ってください!
若手会計士へのメッセージ:
修了考査を迎える監査法人3年目あたりから周囲も転職を考えたりと将来のキャリアを意識するタイミングだと思います。将来どうなりたいかは最終的にはご自身で選択するものです。会計士のキャリアは無限の可能性があるはずですので、色んな可能性を模索し活躍の場を広げて業界をともに盛り上げていきましょう。

プロフィール
トップランナー 公認会計士 vol.33
株式会社AVILEN
髙田 拓明 Hiroaki Takada
立教大学法学部卒業後、事業会社でのセールスを経て、有限責任監査法人トーマツに入社。FinTechをはじめ成長市場に属するクライアントの監査業務及びIPO準備支援に従事した後、AVILENに入社。東証グロース市場へのIPOを牽引するなど経理財務を中心に内部管理体制の高度化を実現。現在は、CFOとして企業価値拡大に向けて、強固なガバナンスと攻めの財務戦略を両立させ、持続的な成長に挑む。
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