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トップランナー 公認会計士

経営判断を会計処理に体現する

ソフトバンク株式会社 財務経理本部
事業経理統括部 統括部長 田上裕孝さん
ソフトバンク株式会社 田上裕孝さんソフトバンク株式会社 田上裕孝さん

二つの事業会社を経て監査法人へ入社

私が大学を卒業した2000年は就職氷河期の真っただ中でした。そんな中、私はシステム会社でキャリアをスタートします。具体的には、百貨店やアパレル企業を対象にPOSシステムのソリューション販売を担当しました。ここでの3年間では、プロジェクト管理、新規開拓営業を通じて社内外との交渉技術を学べたと思っています。
社会人3年目になった頃「田上は数字に強いから会計士に向いているのでは?」と言われたことをきっかけに、公認会計士を志します。脱サラした私は、TAC池袋校で勉強を開始するものの短答式試験に2回連続で不合格となってしまいました。2005年に社会人に復帰し、商社の経理部主計課で会社法決算のとりまとめ、監査対応などを担当しました。座学で学んでいた会計をはじめて実務で実践する機会を得ます。翌年、PwCあらた監査法人へ短答式合格者採用枠で入社。2007年に論文式試験に合格を果たしました。2011年までの5年間をPwCあらた有限責任監査法人で過ごしました。

二つの事業会社を経て監査法人へ入社

サーフィン仲間からソフトバンクに誘われる

サーフィン仲間からソフトバンクに誘われる

監査法人でスタッフからシニアになった頃から、徐々に監査に「面白さ」を感じなくなってしまいました。周囲の会計士友達も続々と転職をし始めていた中、サーフィン仲間から「うちの会社受けてみない?」というお誘いを受けます。そんなご縁にも恵まれて、2011年にソフトバンクモバイル株式会社(以下SBM)へ転職。アカウンティング部主計課へ配属されます。当時は携帯電話大手三社の「戦国時代」で、新しいサービスが次々と誕生する時代。「会社の施策に応じて会計処理を考える」というクリエイティブな会計業務に触れる毎日でした。また、入社してすぐ親会社(ソフトバンクグループ株式会社)のIFRS導入プロジェクトに参画します。通常の会社だと最低でも2~3年くらいはかかるであろうIFRSの導入を約1年で対応する激務です。「IFRSを導入したらどうなる?」ということを常に考えながら、社内外との調整業務を繰り返しました。この激務を通じて社内の信頼関係を構築することができたと思います。

2013年、ソフトバンクグループ株式会社(以下、SBG)は米国スプリント社を買収します。私は同じ通信事業者の会計担当としてIFRS15(収益)やIFRS16(リース)の共同検討の際に4回渡米し、異文化を体験しました。特にIFRS15(収益)の検討の際は、携帯サービスの提供方法が全く異なりスプリントの担当者からは何回も「なぜ?」と問われたことを覚えています。兄弟会社の間で同じ取引形態の会計処理は同一にすべきですが、違う取引形態であれば異なる会計処理も認められるので、その見極めについては監査法人を巻き込みながら苦労しました。

グループ4社の統合に携わる

グループ4社の統合に携わる

2015年、私が在籍するSBMとソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルの4社が合併し、ソフトバンク株式会社(以下、SBKK)となります。4社の経理部門だけでも200人程度の規模。組織文化が異なる会社の合併だったため、会計処理や業務フローの統一にあたり反対意見も多く、関係者との調整は苦労しました。私は中途入社組であったので、この人はどの会社出身だからという意識も薄く、中立的な立場で統合業務に携われたのかな?と思っています。

アカウンティング部長としての経験

アカウンティング部長としての経験

2016年、SBKKのアカウンティング部長に就任します。就任後は主に3つのイベントに携わります。
1つ目は、SBKKの上場プロジェクトです。日本における過去最大規模(2.6兆円)の売り出し額のプロジェクトを、上場する市場をどこにするか?時期をどうするか?複数のシナリオが同時並行で検討される中、時間をお金で買うやり方で、大勢の会計アドバイザーと一緒にプロジェクトを進めました。
経営層の意思決定を具体化し、それを会計処理や開示書類に反映させることが、我々のミッションでした。監査法人とのタフな交渉事も多かったですが、その中心的役割として、プロジェクト自体をリードできた点は充実感がありました。新聞に大きく取沙汰される瞬間は達成感を感じるものでした。

2つ目は、ヤフー株式会社(現Zホールディングス株式会社、以下、Zホールディングス)の子会社化です。2018年12月にSBKKが上場したのも束の間で、兄弟会社であった同社を子会社化する話が、2019年の早い段階で検討段階に入りました。上場後の最初の年度決算を1度も経験していないメンバーを抱える中、規模も大きく上場会社のZホールディングスを含めた連結財務諸表を作れるのか不安もありましたが、経営層のやりたいことを実現することが我々のミッションでもあるので、引き続き上場プロジェクトの体制も残しつつ対応しました。

3つ目はLINE株式会社とZホールディングスの統合プロジェクトです。2社とも上場会社でありインサイダー情報の取り扱いは特に厳しく、プロジェクト当初は会計アドバイザーは使わずに会計論点を検討していました。特にSBKKとNAVERが50%ずつ持ち合う共同支配のようなスキームだったので、お互い譲れない条件と監査法人との連結判定の検討が並行し、とてもタフな交渉でした。

以上、3つのイベントに共通することですが、会社が経営判断として実現したいことを具体化することをダイレクトに実感できる仕事も大きな違いです。その上で大事な点は、関係者との交渉事をうまくまとめられるかだと思います。
上場準備、Zホールディングス子会社化、LINEとZホールディングスの統合、と毎年のように新しいことにチャレンジしていく過程で、プロジェクト推進の予算を取得し、中途人材の確保、メンバーの育成、会計アドバイザー、監査法人との関係づくりも含め、管理職として「気持ちよく働ける環境づくり」は常に意識していました。
いつもメンバーには、減点主義でなく加点主義の思考をもって三振を恐れず、ホームランで返してくださいと伝えていますし、悪い話が出てきたときは、今わかって良かったねと振舞う様にしています。

会計士が事業会社で働くメリットとは

会計士が事業会社で働くメリットとは

SBKKには、会計士・米国公認会計士・税理士が10名以上在籍しています。監査法人出身者のみならず、働きながら社内で資格を取得した者もいます。
SBKKは私が入社して10年経ちますが、変化が多い会社です。スピード感のある会社なので、営業施策や組織再編、投資判断においても経理がビジネスサイドと一緒に検討に入っています。会計判断もその場でファーストインプレッションは求められますし、経営層からの質問にも自分の会計判断の軸と根拠をもって回答しています。受験時代に勉強した内容が私の基礎体力になっていますし、特に財務諸表論、管理会計、会社法、経営学などはフル活用しています。
今は企業内会計士というポジションも確立されているので、中途採用も積極的にしています。事業会社の組織の一員として、経営判断を会計処理や開示にダイレクトに体現できるのは、事業会社ならではの醍醐味だと思います。

プロフィール

トップランナー 公認会計士 vol.11 ソフトバンク株式会社 財務経理本部 事業経理統括部 統括部長 田上 裕孝 Hirotaka Tagami

トップランナー 公認会計士 vol.11
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TACマリッジコンシェルジュ
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