スタートアップCFOとして
活躍する公認会計士
取締役CFO 兼 管理本部長
髙木 真一郎さん
大学3回生で公認会計士を志す
京都出身の私は高校受験で同志社高校へ入学し、そのまま大学へ内部進学しました。大学受験の必要もありませんでしたので、高校時代は只管アルバイトに明け暮れていました。同志社大学商学部へ進学後はバスケットボールのサークルを立ち上げたり、塾講師のアルバイトをしていました。そんな中、20歳になると、ふと高校受験以来きちんと勉強していないことに気が付きました。ちょうどその時期は試験制度が新しくなった「大量合格時代」であり、友人が会計士を目指していると聞いて興味が出てきました。たまたま簿記2級まで取得していたので、せっかくならばと「将来の武器」を身につけるべく公認会計士を志しました。大学3回生からTAC京都校で受験勉強を開始したのですが、大学にも多くの受験仲間がおり、環境にも恵まれた結果、幸いにも4回生で短答式・論文式試験に合格できました。そして、卒業と同時にあずさ監査法人大阪事務所に就職しました。
監査法人時代にIFRSでのIPO案件を担当
あずさ監査法人には30歳になるまで8年間在籍しました。監査法人時代は製造業の上場会社を中心に監査を担当していました。その中で、PEファンドが取得し、再上場を目指す会社のインチャージを担当していたのですが、IFRSで上場を目指すことになりました。当時はIFRSは少しかじった程度、IPOについては何となく知っているくらいの認識でしたが、会社や監査法人の関係者のみならず、株主や証券会社等の幅広い立場の人と関わりながら、実際に会社が上場していく光景を目の当たりにすることができました。その後もインチャージとしてIFRS適用企業等の監査を担当し、会計士の素地ができたと感じることができるようになると「次は組織内部でプレイヤーとして働きたい」と考え始めました。そして、30歳という区切りに株式会社デコルテ・ホールディングス(以下デコルテ)へ転職したのです。
上場の打鐘セレモニー
デコルテは、ウエディングの前撮りを専門に取り扱うフォトスタジオを展開する企業で、メディアにも頻繁に取り上げられる注目度の高い企業でした。当時PEファンドが取得していた企業で、IFRSでの新規上場を目指していました。IFRS適用の上場プロジェクトは関西ではそう多くないので、折角なら今までの経験を活かせる会社を転職先として決めました。デコルテ時代はファンドから派遣されたCFOの下、経理・財務・経営企画全般の責任者として、上場のための社内の体制づくり、IFRSの導入、監査法人や証券会社等の対外的な窓口を担当しました。そして、入社4年目の2021年6月に無事上場を果たすことができました。当時はコロナ禍の影響で、上場記念セレモニーには5名しか参加することができなかったのですが、5人目に入れていただき、「鐘」を叩くことができました。とても貴重な体験ができ、関わった皆様には大変感謝しています。
アーリーステージのスタートアップ企業を支えたい
デコルテでの上場を終えて、次のキャリアについて考えるようになりました。自分で言うのも何ですが、十数年会計士としてのキャリアを積んで、知識・経験・体力がとてもバランスが良い状況だと感じており、この次の10年をどこで過ごすかは人生の投資であると考えました。「デコルテでの残留」「会計士としての独立」などキャリアの選択肢はいくつかありましたが、次はアーリーステージの会社で仕事をしたいと考えました。
IPOに必要なことは大きく2つあると考えています。1つは事業が社会に必要とされ、受け入れられていること、もう1つは上場に耐えられる管理体制を有していることです。私は監査法人時代とデコルテ時代も所謂PEファンド案件を経験していますが、特にPEファンドが取得するような会社では事業は確立されているケースが多く、どちらかと言えば管理体制の構築が重要なミッションになります。一方、アーリーステージでは事業と組織を創っていくところから始まります。これまで監査法人や事業会社で得ることができた経験を、これからの会社に投資したいと考えるようになりました。
そして、私自身が33歳になっていましたので「若い経営者と一緒に頑張るなら今のうち」と考え、この道を決めました。
フツパーのCFOへ
転職するなら、次の会社は以下の条件を満たす会社にしようと決めていました。
①事業として成長の可能性が高いこと、②明確な社会課題と向き合っていること、③経営者が誠実であること。
これらを満たしていたのがフツパーでした。
製造業の95%が人手不足と言われ、特に目視検査の工程は自動化が進んでいません。目視検査工程は熟練の検査員が色味や型崩れを判断しており、数値化が極めて難しい世界であるためです。そこで、人と同じように学習し、判断するAIを導入することで自動化を進めたいのですが、AI導入は高コストかつ導入までの手戻りも多く、本当に人手不足となる中小規模の工場ではなかなか導入できるものではありませんでした。
そこで、フツパーは、「最新テクノロジーを確かな労働力に」をミッションとして、最先端の外観検査自動AI『メキキバイト』(https://mekiki-baito.com/)でモノづくり現場の人手不足を解消する検品自動化AIを提案しています。
『メキキバイト』は製造現場における検査品の撮影技術と最新のAI技術を一体として提供することで、初年度月額298千円、次年度以降98千円と低コストかつ、中小規模の製造現場で使用可能なソリューションを提供しています。
私はフツパーの提供しているサービスが、人手不足で困っている中小規模の製造現場で、本当に必要だと感じ、強い成長性と明確な社会課題を解決するものだと感じました。また、フツパーの経営陣がひたむきに製造現場と向き合う姿に共感し、フツパーへの転職を決めました。
「メキキバイト」はPMF(プロダクト・マーケット・フィット)しつつあり、お陰様で引き合いも多くなっています。社員も50人ほどになり、マンションの一室だったオフィスも三部屋になり、関東支店も設立しました。組織としても「部署」ができ、1つの「会社」となってきていおり、アーリー期に入っています。現在社員一丸となって、数年後の上場を目指しながら充実した日々を送っています。
多様な人と対峙しながら泥臭い仕事も積極的に
事業会社に入ると「やるべきこと」は非常に多くなります。特に、ベンチャー企業では様々なバックグラウンドを有する人たちがどんどん加入し、色々なカルチャーが混ざり合います。その中でCFOという職業は、攻めも守りも見ながら、会社がうまく進めるように泥臭い仕事も自らこなしていく必要があります。担当する領域は広く、会計士のキャリアだけでできるものではないと考えています。ですが、問題に当たった時の判断の基準や会社が全体最適を目指す目線は、監査法人で培った会計士としての考え方がベースにあります。
私は管理部長とCFOを兼務していますが、全く別の仕事と意識するようにしています。管理部長は内部統制の要として統制を利かすことが仕事ですが、CFOは経営者の一人として会社全体を最適化し、対外向けにもしっかりと会社の魅力を説明することが仕事となります。
会計士は会社全体を俯瞰・理解し、専門知識を身に付けた上で、監査クライアントや社内の審査員等へ説明を尽しますが、これらはCFOに必要なスキルとして共通点が多いように感じています。会社やビジネスに興味を持ち、色々な人とコミュニケーションをとることが好きな人にはお勧めできる仕事です。
プロフィール
トップランナー 公認会計士 vol.20
株式会社フツパー
取締役CFO 兼 管理本部長
髙木 真一郎 Shichiro Takagi
1988年生まれ、京都府京都市出身。
あずさ監査法人を退職後、株式会社デコルテ・ホールディングスにて執行役員経理マネージャーとしてIPOを経験。
現在は株式会社フツパーのCFOとして経営企画・管理業務全般を管掌している。
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