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トップランナー 公認会計士

スタートアップから
時価総額1兆円企業への成長を支えた
公認会計士

株式会社メルカリ 常勤監査役 福島史之さん
株式会社メルカリ 福島史之さん株式会社メルカリ 福島史之さん

会計士試験合格後は就職せずにバックパッカーでアジアを周遊

私の学生時代は、就職大氷河期。100社以上に応募しても書類選考すら通過しないという先輩の話も耳にするほどでした。そんな時代背景もあって、周囲の友人は司法試験や国家試験の受験生で溢れていました。

大学の講義を受ける中で公認会計士を目指すようになり、2年生から試験の勉強を開始します。論文式試験に合格したのは2004年でした。合格と同時に監査法人へ就職するのが一般的ですが私は1年間の「自由」を満喫することを選択。バックパッカーで台湾、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポールなど東南アジアを周遊しました。

会計士試験合格後は就職せずにバックパッカーでアジアを周遊

社会人1年目にライブドア・ショックを目の当たりにする

社会人1年目にライブドア・ショックを目の当たりにする

バックパッカー生活を満喫した後、2005年11月に就職します。周囲の会計士受験仲間のほとんどが大手監査法人へ就職する中、スタートアップに興味があった私は上場支援に注力していた港陽監査法人へ入社します。

しかし、入社2か月後に事件が発生します。2006年1月16日に監査法人のクライアントだったライブドアに東京地検特捜部の強制捜査が入り、入社4か月後の3月には職場がなくなってしまうのです。事件当時は「福ちゃん大丈夫?」という心配メールが100件以上届いたと思います。もう、何が起きているか分からず、笑うしかないという感じでした(笑)

ライブドア事件は連日メディアで報道されました。すべての新聞に目を通しましたが、裏を取らずに活字にしている記事も散見できました。全国紙でさえその情報には常に疑念を持つべきだと身をもって実感しました。これは会計士としても非常に大切なことですし、社会人1年目から本当に貴重な体験ができたと思っています。

あずさ監査法人を経て32歳でメルカリ監査役に就任

あずさ監査法人を経て32歳でメルカリ監査役に就任

2006年5月、私はあずさ監査法人に転職します。あずさ監査法人での8年間では、不動産、医療、飲食、ソフトウェア、化学など幅広い業界のIPO支援や監査業務に携わることができました。やはり変わらず「将来はスタートアップで仕事をしたい」という想いがありましたので、IPO支援の仕事はいつか必ず役に立つと思っていました。
監査法人の業務の中で思い出深いのは、J-SOX適用初年度に内部統制に重要な欠陥があると開示したクライアントです。私はSOX2年目に内部統制の立て直しを命じられ、当該クライアントにアサインされました。会社の方と内部統制のどの部分に課題があり、何をどのようなスケジュールで改善すればよいのか、膝を突き合わせて議論した日々はその後の大きな糧になったと思います。

様々なクライアント、事業と関われる監査法人の業務は刺激的ではありましたが、経験を積むにつれ、どこか物足りなさも感じていました。社会に新たな価値を創り上げていく事業会社への憧れも募っていきました。

ある日、会計士の先輩から「メルカリというベンチャー企業が会計士の監査役を探している」という情報をもらいます。信頼している人から話を聞くうちに「10年に1社のスタートアップ企業」と感じ、かねてからの想いとも合致しました。

とはいえ、いざその局面になるとやはり悩むものです。今となっては2000人規模のメルカリですが、当時はまだ正社員は20人程度。丸1週間、毎晩悩みましたが、スタートアップのエネルギーをどうしても体感してみたくなり、2014年9月に株式会社メルカリへ監査役として転職することになりました。
入社当時は隣の席に小泉文明(現会長 兼 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役)。その隣に山田進太郎(現社長)が座っていました。本当に刺激的な毎日でした。

2018年6月東証マザーズに株式上場

2018年6月東証マザーズに株式上場

入社後、まずは会計システムや社内規定の整備に追われました。仲間と協力してバックオフィスの基礎を構築するのに約2年かかりました。従業員数はその間に約3倍となり、社会的な認知度も上がっていきましたが、組織が大きくなるにつれて仕組みを浸透させることが難しくなっていきました。

上場直前には大量採用を実施し、従業員数が約1200人程度まで拡大します。経理・財務・人事・総務・労務・法務といったバックオフィス体制が整い、私は独立した第三者としての「監査役の仕事」、業務監査や会計監査に専念できるようになりました。

2018年6月、メルカリは東証マザーズに上場を果たし、ベンチャー気質が残っている会社もコンプライアンス・ガバナンスの強化が求められるようになります。翌年の2019年2月には「メルペイ」という金融サービスをリリース。金融庁の管轄下となり、求められるガバナンスのレベルが格段に上がりました。この時期から、社内でも「マネジメント型のガバナンスからモニタリング型のガバナンスへ」との議論が始まります。コーポレート・ガバナンス・コードやESG、SDGs等の文脈でガバナンスの強化が謳われて久しいですが、私自身も内部統制の強化というレイヤーからガバナンスの強化へと仕事の軸足が移っていきました。

スタートアップの監査役は、成長フェーズに応じて、都度求められることが変化していきます。組織に対する考え方もガラッと変えていかなくてはなりません。そういう意味では、同じ組織に身を置きながら、3回くらい転職したような気分です。

楽しいことや難しいことの連続でしたが、売り上げゼロ、雑居ビルの小さな一角からはじまり、時価総額1兆円のユニコーン企業と呼ばれるまでの「スタートアップの醍醐味」を味わうことができたと言えます。

「したいこと」を見つけてパフォーマンスを発揮する

「したいこと」を見つけてパフォーマンスを発揮する

転職に悩みはつきものですし、なかなか答えはありません。私自身、まだしばらく続く会計人としての人生に迷いはあります。
そんな時、自分に問いかけるのは

What do you want to do?

お前は何がしたいんだと、バックパッカー時代に問いかけられ、ハッとさせられた時の言葉です。
後から振り返れば一貫して見える「スタートアップで働く」という軸も、少しずつ「したいこと」「好きなこと」を言語化しながら掴んだものだと気づきました。もともと、仲間とともにワイワイと丁々発止しながら創り上げることが何よりも楽しく感じる性分です。
それが叶うのがスタートアップという思い込みがあったことが今日につながっています。

たとえ失敗しても戻れば良いだけ。公認会計士は「したいこと」を優先し、冒険できる資格だと思うのです。

プロフィール

トップランナー 公認会計士 vol.10
株式会社メルカリ 常勤監査役
福島 史之 fumiyuki hukushima


中央大学法学部法律学科卒業 公認会計士。
2005年、港陽監査法人に入社。ライブドア事件を受け、2006年にKPMGあずさ監査法人に入社。IPO関連業務や財務諸表監査、内部統制監査、財務デューデリジェンス等に従事。
2014年に株式会社メルカリの常勤監査役に就任。管理体制の構築を支援するとともに、監査役監査を実施。近年はコーポレート・ガバナンスの強化に注力。

株式会社メルカリ
https://about.mercari.com/

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