SPC［不動産証券化］

税理士の仕事は大きく拡大しています。SPC（不動産の証券化）もそのひとつです。この仕事を通じて、会社の設立から清算までを比較的短期で経験できます。その上、金融・不動産そして税務・会計の知識を習得できるのです。極めて専門性が高く、税理士の最もダイナミックな仕事のひとつです。
SPCについて少しお話しますね。SPCとはSpecial Purpose Company の略で、特別目的会社と言われます。SPCには様々な種類がありますが、ここでの「特別な目的」とは「資産に投資をすること」です。資産の多くは、オフィスビル、マンション、ホテル、ショッピングモールなどの不動産や、太陽光、風力発電といった設備が占めています。キーワードは「１つのプロジェクトのため設立される会社」そして「従業員のいない会社」であることです。

株式の売買はすぐにイメージがつく方も多いと思います。特定の会社の株式を持つことで、その会社の事業拡大を支えるという投資活動の1つですね。では、ある会社の特定のプロジェクトへの投資はどういう形があるでしょう。その答えの1つが、SPCです。
SPCは、先述の通り、「1つのプロジェクトのために設立される会社」です。投資家はこの会社（SPC）に投資をします。不動産そのものは数十億数百億と金額も大きいため、一人で保有するには大きな負担ですが、SPCが不動産を保有し、不動産のプロフェッショナルである関係者が運用し、複数の投資家がSPCに対して出資（組合出資持分や優先出資）することで、投資しやすい仕組みが作られます。
この仕組みにより、大規模な複合施設、太陽光発電、風力発電など、SDGsやサスティナビリティを意識したプロジェクトが実現可能となり、未来の地球環境に貢献します。

ところで、従業員がいない会社は意思決定ができませんよね。従業員のいないSPCが、意思決定なく会社を運営していくためには、SPC設立前にすべてを緻密に計画する必要があります。計画作りにおいては、不動産鑑定士や金融機関のアナリスト、そして私たち税理士を含む専門家集団が、考えられる全てのシミュレーションを実施して確度をあげていきます。投資の最大のリスクは想定外の事態が起こることです。これには各プロフェッショナルの情報量と正確さが計画作成の鍵を握ります。そのため、日頃から各方面へアンテナを伸ばして情報収集にあたるのは当然ですが、青山綜合会計事務所が抱える1,700社に上るSPCのデータなども大きな判断材料です。他にも、投資家の出資比率や借入を含めた資金計画、金利の動向、収入の見込み、経済状況、為替変動、スポーツの世界大会、万博などの開催も価格変動のファクターになるため、あらゆる事象からの検討を重ねます。不動産の投資では「転売する」か「貸す」ことで収益があがるため、様々な判断材料を元に、最も効果的な運用方法を考えていきます。

私たちは日々「SPCの設立から清算まで」に携わっていますが、このような経験ができる税理士はとても少ないと思います。金額も大きく、期日が定められた仕事も多いためプレッシャーもありますが、税理士として高度な専門性を養うことができます。加えて高度なノウハウが必要なため、この仕事を請け負うことができる税理士法人はごく少数です。
また、太陽光や風力発電は、カーボンニュートラルへの取り組みの1つとして高い注目を集めており、必要不可欠なものとして今後ますますの発展が期待できます。青山綜合会計事務所は、プロフェッショナルとして活躍したいと思っている「あなた」にとって最高の職場だと確信しています。SPCを切り口として、会計・税務のプロを目指し、社会においてなくてはならない存在になりませんか？

情報処理サービス会社の経理部を経て2003年青山綜合会計事務所に入社後、税理士の勉強を続け、2004年に税理士登録。シンガポールオフィスメンバー等と連携し、主にインバウンドの不動産ファンドに関する会計・税務業務に従事している。 外資系金融会社、個人会計事務所を経て2016年青山綜合会計事務所に入社後、通常業務や眠気と戦いながら勉強し、2020年に税理士登録。金銭債権を中心としたSPCに関する会計・税務業務に従事している他、従業員からの税務業務に関する相談も担当している。