法人税務・個人所得税務
法人税務は税理士法人・会計事務所で大きなウェイトを占める部分になります。すべての法人は、各事業年度の決算をもとに法人税を納めなければいけません。そのためには日々クライアントとの取引や、売上、経費などを記帳して、帳簿を作成していき、月次決算や、年次決算をしていきます。年次決算が終わったら、決算月の2か月以内までに、税務署に税務申告書を提出します。
具体的な法人税務の仕事内容としては、会計ソフトなどを使用して日々の取引を記録していく記帳代行業務から、記録した会計帳簿をもとに行う月次決算業務があります。月次決算を積み上げて、年度末には年次決算を行い、その2か月後に税務申告書を作成して税務書に申告を行う義務があります。本来は会社が自社で行う業務ですが、税務のスペシャリストである税理士に依頼して、自社の経理業務も任せることが多くあります。
繁忙期については、年末調整が発生する時期と、日本の企業は3月決算が多いため、決算業務、税務申告業務が重なり、また、所得税の確定申告期限は3月15日までとなっているため、12月から5月までが繁忙期になるケースが多くあります。
企業の毎月・毎年のお金の流れを把握しているため、会計処理のアドバイスだけでなく、経営のアドバイスも行い、クライアント目線に立って貢献していく意識があると、より業務の幅が広がるかと思います。
資産税務
基本的に国税である相続税・贈与税・譲渡所得税の3つに対応した税務業務を行います。
申告・納税の義務があるため、相続税であれば亡くなってから10ヶ月以内に、贈与税や譲渡所得税であれば翌年の3月15日までに、納税者から依頼を受けた税理士が申告書を作成し税務署に提出します。これが、税務申告の中心業務となります。
ただし、相続税の申告は、法定相続人の確定や遺産の分割、土地や非上場株式などの相続税評価額の算出などやるべきことが山積みされている上に、申告書を提出した後で税務調査が行われた場合は、その立ち会いも行わなければなりません。
資産税専門の税理士は事前の節税対策も行います。資産税は相続の金額によって高額になることがあり、事前の準備次第で納税額は大きく変わります。事前の節税対策には様々な方法があり、生前贈与で相続資産を減らしたり、現預金を活用して、不動産投資を行ったり、一時払いで生命保険に加入するといった方法があります。
相続案件は突発的に発生する業務に対してどのような状況でも臨機応変な対応が求められます。身内の人がなくなっている人も当然いますし、相続に関する業務は非常にデリケートな分野です。最大限配慮をして、言葉を選びながら相手の信頼を得られるようにヒアリングしていく必要があります。時には、クライアントが言いにくいことを聞いていかなければいけない場面もあり、より深いコミュニケーション力を求められます。
国際税務
国境をまたぐ事業活動や組織再編に関連して発生する課税関係への対応を総称するものです。法人税法などとは異なり、法律に定義のあるものではありません。国内外企業間の事業形態が日々変化していくなか、国際税務に関連する法令も日々新規制定・改正されており、高度で複雑な分野となっています。
日系企業が海外進出する際や、外資系企業が海外から日本へ進出する際に付随する税務に関する問題に対してサービスを提供することになります。国際税務は、税理士試験の科目であるわけでもなく、業務を通して実践の経験を積んで専門性を高めていきます。
具体的な業務内容としては、例えば、組織再編をはじめとするクロスボーダーM&Aに伴い海外への投資決定を行うにあたり、現地での税務や会計の適正性・妥当性を意識するかと思いますが、同時に日本側のタックスヘイブン対策税制への対応が必要か、検討が求められます。そこに税理士が入って後々に追徴課税が発生するリスクを減らすことや、M&Aによりグループとなった海外の関係会社とグループ内取引が発生する場合や、既存製品の製造を新たに行わせる場合など、商流や製造機能の見直しを行うような時には、PMIの一環として移転価格税制への対応も必要になってきます。
国際税務では、日本の税制だけでなく、他国とどういう租税条約を結んでいるか、タックスヘイブン対策税制、外国税額控除、移転価格税制など様々な税制に対して対応することが求められます。