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THE PROFESSIONALS 税理士の仕事

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09国際税務

PwC税理士法人  事業法人部 パートナー 税理士 山田 祐介(やまだゆうすけ)

1998年入社。現在、パートナーとして日系・外資系の法人顧客を担当する事業法人部に所属。
約200名の所属部門のスタッフを他のパートナーとともに統括しながら、日本・海外の大手企業を中心とする顧客に多様な税務コンサルティングサービスを提供している。

PwC税理士法人 事業法人部 パートナー 税理士 山田 裕介(やまだゆうすけ)氏

国際税務業務を一言でいうのであれば、国境をまたぐ取引に関連して発生する課税関係についてアドバイスを提供する業務です。税理士試験ではほとんど出題されない分野だと思いますので、受験生にはイメージしづらいかと思います。

たとえば、ある日本企業のA社がS国に海外進出するとしましょう。その際、現地に支店をつくるべきか?それとも子会社を設立するべきか?という選択によって、A社が支払う税金総額は大きく異なります。A社がS国で利益100億円を計上したケースで比較してみましょう。まず、支店を開設した場合です。S国の税率が17%だとすると、現地では17%相当額の17億円を納めます。日本の実効税率は約30%ですが、既にS国で17億円の税金が課せられているため、残りの13%相当額である13億円の税金を日本で納めることになります(外国税額控除が適用できる前提)。次に、海外子会社を設立した場合です。S国で17億円の税金を支払った後、利益83億円を国内の親会社に配当するとします。日本では、海外子会社からの配当金額の5%が課税対象となりますので、83億円×5%×30%≒1.2億円の税金を納めることになります。支店開設の場合に納める税金は、S国17億円+日本13億円=30億円となる一方、子会社設立の場合では、S国17億円+日本1.2億円=18.2億円となります。子会社を設立した方が、11.8億円の節税となります。

しかし、A社がS国進出後すぐに黒字になるとは限りません。支店の赤字は本店の所得と相殺されますが、子会社の場合は別会社のため相殺されません。ですから、一概に子会社を設立した方が得策であるとはいえないのです。クライアントにとってのメリットとデメリットを多面的に考えてアドバイスを提供することが求められます。

海外進出

次に、CFC(Controlled Foreign Company)税制について説明します。世界には法人所得に課税をしない国や、著しく低い税率しか設けていない国もあります。このような国や地域のことをタックスヘイブン(tax haven)国といいます。たとえば、中国の工場から50万円で仕入れた商品を100万円でアメリカに販売している会社があったとしましょう。この会社が日本の会社であれば利益50万円×30%=15万円が納税額です。この法人税を回避するために、香港に子会社をつくって、この子会社経由で取引したことにすると納税額は8.3万円(利益50万円×香港の税率16.5%)です。一見すると9万円の節税効果があるように見えます。しかし、形式的に子会社を経由させるだけの取引の場合、CFC税制により、香港子会社の利益を日本の親会社の所得に合算して課税されてしまいます。このように、簡単には租税回避行為ができないような税制が設けられています。海外進出についての税務アドバイスをする場合は、CFC税制も考慮する必要があります。

CFC税制

また、海外で働く個人の税金に関してもいろいろなルールが存在します。海外に滞在していた期間に対応する給料は、たとえ給料が日本で支払われていても、現地で所得税が課税される可能性があります。しかし、どの国もこのような税法だと、出張で世界を飛び回っている人が、さまざまな国で税金を納めなければならなくなってしまい、企業の事業活動に支障をきたしてしまいます。このような状況を避けるため、各国はお互いに租税条約と呼ばれる条約を締結しています。例えば租税条約を締結しているアメリカの場合、日本人が出張でアメリカに滞在しても滞在期間が年間183日以下であるとアメリカで所得税は課税されません。逆に租税条約を結んでいない国への出張だと、滞在期間が短くても税金を納めなければいけなくなる可能性がありますので注意が必要です。

国際税務の仕事をする上で「英語力はどの程度必要か」という質問をよくいただきますが、過度に心配する必要はありません。リーディング・ライティングの力は業務を通じて自然と身につきます。現在、税理士法人から海外に駐在しているスタッフは20名以上ですが、入社時から英語が堪能だった人は少数です。私も入社5年目から3年間PwC英国のロンドン事務所で業務に従事しましたが、入社時に英語は得意ではありませんでした。国際税務は専門性が高い分野だと思います。好奇心・向上心が強い方であれば、きっと興味を持っていただけると思います。また、ロジカルに物事を考えることができる人だと活躍の場が広がるのではないでしょうか。これから受験される方については、法人税・消費税の学習をお勧めします。試験では国際税務に関連する内容は限られていますが、両科目とも税理士業務に携わる限り、必ず必要になる知識だと思います。


PwC税理士法人

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